世界遺産となった今年中にどうしても富士山に登りたくて実行へ。混むことは覚悟の上。過去は会社の仲間と登ていたが、今年は調整時間も無く且つ山小屋泊なし山頂野宿の独自プランでの決行としたため結局単独で登ることに。
8月9日、仕事を終え自宅にて夕食を食べたのちフォレスターにて富士山へ。スバルラインはマイカー規制がかかっているので一般車は通行止め。指定の富士北麓駐車場へ。駐車料金は1000円也。10日午前1時ごろ到着したが駐車場はガラガラ。かなりのキャパシタンスをもっている。例によって車内泊なわけだが就寝前にトイレへ。トイレも清潔、照明も少なく静かな環境。車内泊も快適に行うことが出来る。トイレへ行く途中富士山を眺めると登山者の光の帯が。明日あの一部になっているのかと思うと何故か少々武者震い。
午前8時半に起床。朝食を食べ着替えを済ませいよいよ出発。5合目まではシャトルバスで向かう。30分ごとに運航しているが定員になることは殆どなく、待ち時間0分で9:30の便へ乗ることが出来た。ちなみにシャトルバスは往復1800円。スバルラインの運賃を考えればトントンといったところだ。それにしてもシャトルバス快適。足元も余裕があり到着までもおよそ45分間、車窓を眺めつつ十分くつろぐことが出来る。
5合目へ到着。相変わらず盛況だ。頂上も良く見える。今年は特に外国の方が目立つように感じる。高地順応のため1時間ほどここでボーっとする。今年は世界遺産登録メモリアルイヤーなので金剛杖を購入し焼印をコレクションすることとした。ストックは持っているので焼印専用の短いやつを500円にて購入。ザックのサイドポケットに差して準備万端。ちなみにこの待ち時間で忘れ物に一つ気づく。キャメルバックの残量計だ。これ↓。
キャメルバック、以前より愛用しておりとても手軽で便利なので気にっているのだが一つだけ不満が。それが本体がずっとザックの中故、残量が容易に確認できないこと。山登りの途中で水を切らしてしまうと悲劇につながる可能性もあるため打開策として以前残量計を購入したのだが、そいつを忘れてしまった。まぁ今更どうすることもできないので素直にあきらめるしかなかった。
ちなみに今年はザックを新調。モンベルのヌプリパックを購入。35リットルの容量で適度な大きさ。今回のような1泊の夏登山等では若干余裕があるもののドローコードで容量調節も行えるので荷物が中で暴れることもなく不満はない。
午前11:30いよいよ出発。
しかしだ、5合目はあれほど混んでいたのに登山道は思ったより空いている。今までで一番空いているのではなかろうか…
鼻歌交じりで時間をかけ1時間で6合目に到着。高山病予防のために5~6合目は1間ほどかけウォームアップも兼ねゆっくり上るのが良いそうだ。天気は良いのだが霞が残念。
6合目ではロッテがキャンペーンでガーナチョコを無料で配っていた。後で知ったが
こんなキャンペーンをやってたんですね。富士登山アプリとゴミ袋のセット。チョコレートはその場で早速頂いた。疲れた体に甘いの最高!
上に目を向けると、これから制覇する頂上へ続く道が延々と。
6合目までは比較的道も良いのだが、それ以降はガレ場に紛れこんな岩場が散在する。
・・・しかし空いとるのう。
7号目日の出荘にて初の焼印を。焼印は頂上以外200円。頂上は300円取られる。時間は13:30。ベンチを借りて少しだけ休憩。下を見ると今まで来た道が。結構登ってきたようにもみえるがまだまだ序の口。
十分休憩したのち出発。途中鳥居が見えてきた。クドイようだが道が空いとる。
14:30。いつもお世話になっている本7合目の鳥居荘へ到着。早いペースだ。
適度に休憩を取りひたすら上る。
16:30。八合目からみた下界。鳥居荘の赤鳥居が遠くに見える。
拡大すると↑こんな感じ。6合目はもうはるか向こう。
八合目を過ぎると雲の上に出る感じ。時間は17:20。
18:15。元八合目での影富士。
元八合目まで来るとついに頂上が見えてくる。手前の白い鳥居が9合目。ここから先は頂上までトイレがなくなる。
拡大すると↑更に上に白鳥居が。その白鳥居をくぐると富士山の頂上となる。あともうちょっと。風が少し出てきて止まると寒い。
18:45。ついに9合目。しかし時間のせいもあるが登山道には誰もおらず正直寂く不安も少々。自分の息遣いとガレ場を踏み込む音、そして風の音しか聞こえない。黄昏行く風景。かなりの悲壮感に取り囲まれる。
19:32。ついに富士山の頂上へ。日も落ち辺りはすっかり夜の様相。登りは8時間かかったことになる。通常は6時間~6時間半程度の行程らしいので遅い部類!?
しかし頂上はもっとにぎわって人もいると思ったのが全くの勘違い。人は殆どいない。山小屋も売店も閉まっており孤独極まりない。こ~んな感じのところで夜を明かすのだ。幸いにも殆ど無風だったがソフトシェルにダウン、ゴアのアウターを着込んでも全身の震えが止まらない。正直富士山をなめていた。下界では日本での最高気温が更新されるんじゃないかと騒いでいる頃、同じ日本で私は死すらよぎるほど凍えている。1000m毎にマイナス6度。単純計算で下界と22,3度違うだけで、例えば連日の熱帯夜、下界が現在25度と考えても氷点下にはならない。真冬のウェアさえ準備しておけば雨さえ降らない限り大丈夫だろうと読んでいたが結果的に見事大外れ。こんな環境でご来光までの9時間を過ごさねばならないのか。今から帰れば5合目のシャトルバス最終にも間に合うよなぁなんて考えも正直頭によぎった。
しかし私には今回実現したい目標がたくさんあった。ご来光を見る以外にもお鉢巡り、剣ヶ峰制覇、山頂郵便局にて登山証明書購入、焼印コンプリ―ト。せっかくここまで登りご来光を見るには申し分ないスポットを確保したのにあきらめるのはもったいないし、次はいつチャレンジできるのかも解らない。諦めたらきっと後悔する。そんな思いでひたすらこの地獄の9時間を耐えることとした。
まずは腹ごしらえ、暖かいものを胃袋に入れれば少しは震えも改善するかと思いカップラーメンを作成。ジェットボイルSOLは富士山頂でも安定稼働。すぐにアツアツのカップラーメンを食することが出来た。
すすりながら下界を見ると山中湖畔で花火を打ち上げていた。ここから見ると何とも小さい事か。
喉を通ってゆくあったかい食べ物・・・生き返る。天の川も射手座、さそり座、白鳥座、わし座、こと座、夏の代表的な星座が目の前に広がる。無数の星々に囲まれての無音の中での夕食は格別なものだった。
しかし食べ終わるとすぐに震えが。ここで最後の手段、
前回の教訓で購入しておいた「リーサルウエポン」を投入。
エマージェンシーシートと
エムシェルターだ。これらは万能とは言わないが有ると無いとでは大違い。ほんの少しではあるが眠ることさえできた。
うつらうつらと記憶の境界線を行ったり来たりしていると何やら周りが騒がしくなってきた。時計を見ると午前3時過ぎ。山小屋に宿泊していた登山客が一世に行動を開始しこちら(山頂)へ向かってきている。それは光の帯となり幻想的な光景。
既に山頂へついている登山者も多数おり、周りは一気ににぎやかになった。それに合わせ体感温度も確実に上がってきている。恐るべし人間の体温。
日の出一時間目ともなるとうっすら東の空が明るくなってきた。先程は夏の星座だったのに目の前には冬の星座であるオリオン座がお目見えしている。
相変わらず登山客は途絶えることなく光の帯は延々と続いている。明けてくる空、下界の夜景、登山客の灯り、実に美しく記憶に残る光景だ。耐え忍んだこの夜の苦労が一気に吹っ飛ぶ。
いよいよご来光もカウントダウン状態。周りは人の渦。苦労の末陣取った特等席でちょっとした優越感…(^^;
刻々と変化するダイナミックな雲の動きが面白い。
そしてご来光。時間は5時ちょっと前。
周りから一斉にため息が。
万国の言葉で喜びの会話が飛び交う。
そして山小屋から君が代が流れ万歳三唱の唱和がアナウンスされる・・・
誰彼関係なく万歳三唱の大合唱。頂上が一体となったラブ&ピースな瞬間。
夜に沸かしたインスタントコーヒを流し込む。至福の時だ。
気温はだんだんと上昇。刺さるような日差しも。もう凍えることもない。気付いたら頂上はお祭り会場のように人であふれかえっていた。トイレも大渋滞。並んでるうちに脱糞してしまうのではないかとも思ったが効率よく流れてゆき10分程度の待ち時間で用を足すことが出来た。
5:40。殆ど寝ていない状況だが体力は申し分ない。身も軽くなったところで次なる目的を果たしにいざ出発。貴重品は取り出しザックはデポ。お鉢巡りの始まり。念願の↓あそこ(剣ヶ峰)まで行ってくる!
富士宮口山頂まではアップダウンが殆どないのでストレスなく到着する。
果てなき雲海の上を歩くのはとても気分が良い。
宝永山も生まれて初めて上から眺めることができた。
想像以上のスケール感にびっくりだ。
20分ほどで富士宮口山頂にある富士山頂郵便局へ到着。ここで登山証明書を購入。500円也。山頂郵便局のスタンプを押して自宅の宛先を書き外にあるポストへ投函すれば2,3日程度で郵送されてくる。混んでるけど購入から投函までは15分程度で事足りるので時間を惜しまず是非トライ。大変良い記念になること間違いなし。
続いて隣にある浅間大社奥宮にて金剛杖に刻印を押してもらう。ちなみにこちらは焼印ではなく刻印なので乾くまで触ってはいけない。
さていよいよ剣ヶ峰へ。富士宮口山頂からはホント目と鼻の先。
ただし見るからに急な阪が延々続いている。
10分程度で富士山測候所跡地へ到着。ここからは剣ヶ峰での写真撮影のための行列に並ぶ。こちらも15分程度の待ち時間だったが富士山ドーム跡地や・・・
お鉢の向こう側や三角点など・・・眺めるところはたくさんあり飽きることがない。
で、6:49いよいよ念願の剣ヶ峰。素直に感動。・・・後ろにも沢山の行列が控えているので写真は2枚程度で撤収。ちなみに剣ヶ峰の碑の前にはボランティアの方なのかシャッターを押してくれる人がスタンバイしていた。単独登山の身としては実にありがたい。
すぐ近くにもう一つ隠れた穴場(!?)がある。赤ペンキで印がつけられている岩である。何を隠そうこの岩、正真正銘日本で一番高い自然物とのこと。
さわる。「2013/8/11 6:53現在」で私は日本で一番高いところにいる人間となった(笑)
最大のクライマックスも終え、富士吉田口山頂へ戻る途中、大沢崩れのてっぺんで幻想的な影富士。
遠くに南アルプスや八ヶ岳が雲の上に浮かんでいる。
7:22。お鉢巡りも無事終了。久須志神社にて金剛杖に刻印を。
金剛杖の焼印、刻印コレクションもこれにて見事コンプリート。
須走口へ移動し下山へ。下山開始は7:55。はるか下にまだまだ続く道が見える。
・・・しかし下山は予想以上の早さだった。休憩は1回のみで5合目に着いたのは9:40。実に1時間45分で下り切ったことになる。登りは遅遅だったがどうやら下りは得意らしい。10:00のシャトルバスに流れ込み北麓駐車場に着いたのは10:30過ぎ。全ミッションを無事に果たすことが出来た。
帰りは河口湖畔の「霊峰富士の湯」にて汗と垢を流し心も体もすっきりで帰路に着いた。自宅に帰り体脂肪率を図ってみるとこの2日間で2%落ちていた(笑)
今回の登山で少しだけ体力に自信を持つことが出来た。筋肉痛も2日ほどで回復。体力が以前より上がっていることが素直にうれしかった。次はどこにチャレンジしようかな。
今回の行程。山旅ロガーにて測位しグーグルアースへ反映。